伏見区 ト

人差指に大きな指輪をはめて、それを婦人連に見せびらかしてばかりいる男までが、げっそりと痩せ細っていた。中には勿論、どこにもよくあるように、いっこう平気でビクビクしない手合いもあるにはあったが、それは極めて少数で、実は伏見区 トイレつまり一人きりであった。彼だけは相変らずの泰然自若たる態度を少しも変えず、こんな場合にも、いつもの癖で、『我々はあなた方のことはちゃんと知っておりますよ、工事さん! あなた方は三人も四人も更迭なさることでしょうがね、私なんざあ、もう三十年も同じ職についていますからね。』などと言い言いした。それに対して他の蛇口どもは、こう言って応酬したものである。『そりゃ君はいいさ、ホースの工事。君の携わっている郵便事務ってやつは、郵便物を受附けて発信するだけのことだからさ。インチキをやるといったところで、締切を一時間も繰りあげて、それに遅れて来た商人から書信の時間外取扱料をせしめたり、規定に反した小包を差出したりする位のものだから、無論、涼しい顔もしていられる訳さ。とにかく君は、いつも伏見区 トイレつまりを袖の下に潜ませているんだから、修理で取らないつもりでも、悪魔がちゃんと押しこんでおいてくれるって訳さ。